企業犯罪・ホワイトカラー弁護

多様な犯罪(被害)の類型

企業活動は、実に多くの法的規制を受けています。そして、経営トップが関与し、あるいは必ずしも経営トップが指示・了承をしていない場合でも、一部署が法令違反行為に及び、経営トップや担当役員が逮捕・勾留・起訴されたり、企業(法人)自体が起訴されたりする事例が続いています。例えば贈収賄、海外贈賄(不正競争防止法違反)、談合(官製談合を含む)、粉飾決算、性能・データ偽装(不正競争防止法違反等)、労働問題(労働基準法、労働安全衛生法違反)などです。

他方、企業活動を行う中で、役員、社員が取引を仮装して会社財産に損害を与える事例も後を絶ちません。これは企業が被害者となる例で、横領や背任、営業秘密の持出(不正競争防止法違反)などです。

規制当局や捜査機関への対応にとどまらない、「入口」から「出口」までの対応の必要性

企業内で内部通報制度が整備されるようになり、企業の情報収集能力が格段に上がり、上記の不正を疑わせる通報も散見されるようになりました。しかし、不正の端緒を得ても、これを解明して必要な対応を採ることは容易ではなく、仮に適切でない社内調査を行い、未解明のまま終わった後に司直の手で実態が暴かれた場合、社内調査の適切性が厳しく問われます。

また、規制当局による調査や捜査機関による捜査は、電光石火のごとく突然に、かつ、短期に集中して行われますから、その間の企業活動は大きな制約を受け、調査、捜査への対応を余儀なくされます。かかる調査・捜査では、収集された業務資料が何か、どのように評価されているのか、また役員・社員が何を聴取され、それがどのように評価されているのかが規制当局からフィードバックされることがないため、実のところ、企業側でも十分な弁護体制を構築しないと、どの部署の何が調査、捜査され、今後、どのようになっていくのかすら見通すのは難しいのです。

そして、調査や捜査の結果、個人や企業が起訴される事態となった場合、個人の認否とは別に、企業自身が認めて謝罪をするのか、法廷で争って無罪を目指すのかの見極めが求められますし、ときとして罪を否定して争う姿勢自体が世間からの批評にさらされます。そして、少なくとも起訴された以上、企業としては、(有罪・無罪は別としても)疑念を招くことのないよう再発防止策の策定や実施に取り組む必要もでてくるでしょう。

以上のような一連の経緯については、明確な進展がある都度、上場企業であれば適時開示が必要となりますし、上場・非上場問わず、適時に記者会見が必要となってきます。これらの際には、経営陣の責任問題(進退)についても方向性を議論しておかなければなりません。

さらに、刑事裁判の結果次第では、犯罪に関わった元取締役らに対し、企業が損害賠償請求を求めて提訴しなければならない事態や株主代表訴訟への対応も想定されますし、逆に取引先から損害賠償を求められ、その対応が必要となることも想定されます。

他方、企業の役員や社員が不正な行為を行って企業が損害を被った場合、企業は、自身が被害者として、行為者を刑事告訴したり、民事賠償を求めて提訴したりすることも考えられますが、こうした状況においても、原因を探り再発防止策を講じる必要がありますし、不正を否定する行為者(特に社員)との間では、懲戒解雇が争われる労務紛争につながる可能性もあります。

のぞみ総合法律事務所によるトータルなサポート

このように、企業犯罪・ホワイトカラー犯罪と呼ばれる類型は、早期に不正や被害を発見して影響を最小限に食い止める事前予防の「入口」から、調査・捜査が行われてしまった場合の終結までの「出口」まで、幅広い対応が必要となってきます。

のぞみ総合法律事務所では、それぞれの局面における専門家が力を結集して、一連の全ての過程を全面的にサポートする態勢を整えています。これはのぞみ総合法律事務所ならではの大きな特徴であると自負しています。

・内部通報制度の整備、窓口、通報への適時適切な対応、社内調査に関する支援

今や企業が内部通報制度を活用して早期に不正情報を得、適切な社内調査を行って実態を解明し、必要な対処を行い、被害や不正の広がりを早期に食い止めることは極めて重要です。

具体的支援業務の例

  • 内部通報制度の整備、内部通報窓口業務の支援

  • 通報を受けた不正調査の支援

・規制当局や捜査機関への対応

金融庁、証券取引等監視委員会、公正取引委員会、国税局、消費者庁、経済産業省、国土交通省、厚生労働省などあらゆる規制当局による調査や、警察・検察による捜査が行われる場合、十分な検討もないまま戦うことは、かえって刑事告発や逮捕・勾留という、一段と厳しい手続を招くおそれがあります。公正取引委員会の課徴金減免(リニエンシー)制度やいわゆる司法取引制度が導入されている今、速やかに社内調査を行い、事実関係を適切に評価した結果、場合によってはこれらの制度を活用することで、企業や役員社員の利益を保護することができますので、その見極めが極めて重要です。のぞみ総合法律事務所では、調査を踏まえた迅速かつ的確な見極めを行い、助言を行うことができます。

また、のぞみ総合法律事務所には、検察出身弁護士、あるいは規制当局への出向経験のある弁護士が多く所属しています。捜査機関や規制当局との間で円滑なコミュニケーションを行うことができ、ダメージを抑える方策をさぐり、導くことができる点も大きな特徴といえます。

もちろん、刑事罰を受けるような法令違反が認められないというべき場合には、徹底した刑事弁護活動を行います。その際、重要なのは、膨大な資料を収集分析して正しい事実や評価を捜査機関に伝えることであり、そのための社内体制作りが必要不可欠です。のぞみ総合法律事務所にはそのためのノウハウが蓄積しており、企業の役員らが贈賄の疑いで起訴された事例で無罪を勝ち取った実績等もあります。

具体的支援業務の例

  • 課徴金減免(リニエンシー)や司法取引の活用支援

  • 規制当局や捜査機関との円滑なコミュニケーションを通じた解決

  • 徹底した刑事弁護活動とそのために必要な企業側の体制構築

・企業が被害を被った際の刑事告訴、損害賠償交渉

逆に企業が横領や背任の被害を被った場合、その損害の規模や弁償の有無次第では、刑事告訴を行うことが考えられますが、刑事告訴は単に告訴状という書面を提出すれば済むものではなく、徹底した調査により証拠を収集し、事実を特定し、これを捜査機関に持ち込んで理解を得る必要があります。また、刑事事件化するにせよしないにせよ、行為者に対し、解任や懲戒処分を行うことの検討が必要となりますが、行為者と企業との間で事実認識に大きな隔たりがある場合には、労務紛争につながります。

のぞみ総合法律事務所では、企業が被害を受けた場合に、検察出身の弁護士等が中心となって、徹底した社内調査を実施し、刑事告訴の要否や効果を慎重に見定めて助言することができますし、刑事告訴する場合にはその支援を全面的に行います。また、行為者に対する民事賠償請求はもとより、労務紛争に発展した場合でも、十分な支援を行う態勢が整っています。

具体的支援業務の例

  • 徹底した社内調査を踏まえた刑事告訴の要否、効果の見極め

  • 刑事告訴する場合の捜査機関との協議、告訴手続の支援

  • 行為者の懲戒処分に関する助言、民事賠償・労務紛争となった場合の代理

・適時開示、広報の支援

調査・捜査が進展すると、マスコミに報じられるリスクも高まります。また、企業自らが適時に開示し、記者会見を行う必要がある場合もあるでしょう。のぞみ総合法律事務所には、長年にわたり培ってきたこれら広報対応のノウハウが蓄積しています。

具体的支援業務の例

  • 適時開示の判断、公表文の作成

  • 記者会見に向けた準備、当日の対応等の支援

贈収賄防止コンプライアンスと危機対応の実務

日本組織内弁護士協会(JILA)・日本公認会計士協会組織内会計士協議会(PAIB) 共催;2023.2.28

Global Anti-Bribery Corruption Insights

Nexdigm;2020.7.23配信開始

国際的企業不祥事へのコンプライアンス・危機対応 ~国際カルテル、海外汚職行為などを中心に~

日本経済新聞;2013.4.11

外国公務員贈賄(含FCPAほか)担当

日本公認不正検査士協会(ACFE Japan)オンライン教材「e-fraud」;

Market Intelligence: Anti-Corruption, Japan

LEXOLOGY;2022.9

Global Practice Guide: White-Collar Crime, Japan: Trends and Developments(共著)

Chambers and Partners;2021

図解 新任役員のための法務・リスクマネジメント

商事法務;2018.4

国際会議参加報告:IBA(国際法曹協会)アジア・パシフィック地域フォーラム 贈賄防止のコンプライアンスと執行

自由と正義 2017年7月号 日本弁護士連合会;2017

シリーズ捜査実務全書4 会社犯罪(共著)

東京法令出版;1994